ノヴァの新しい一歩 ~有機クラフトスピリッツとの出会い~ 第一章
第1章:はじまり
2021年6月17日、私たちは酒類製造業免許を取得しました。
2019年11月に目論見書を作成してから1年と6ヵ月が経ち、ようやくお酒造りのスタートに立つことができました。ここから、ノヴァの新しい一歩が始まります。
私たちは、世界中から有機ドライフルーツ、ナッツを輸入し、埼玉県北本市にある本社工場にて、選別、小分け、加工をおこなっています。全国のパン屋さん、お菓子屋さんなどへ卸す業務用商品を主として取扱いながら、小売商品も製造・販売しています。
そんな私たちが、
“お酒を造ろう”
そう決心した背景には、日々の選別で商品にできないと判断される高品質のドライフルーツやナッツの姿がありました。私たちは、“その年に収穫された最高品質の商品のみを輸入”することをポリシーにしています。すべての商品は、各国の現地メーカーで選別をおこなった上で輸出されますが、日本の選別基準はさらに高く、現地で良品とされたものでも、日本では除外品の対象になってしまうことがあります。形が悪かったり、実の一部が欠けていたり、潰れていたりと、品質には全く問題のない最高品質であっても、です。
創業以来、私たちは幾度となく現地へ赴き、生産者と信頼関係を築いてきました。はじめは消極的な生産者も、足繁く通う私たちを次第に認めてくれるようになり、心が通ったコミュニケーションがとれるようになります。気持ちが通じ合う中で分かったこと、それは、彼ら生産者たちは、人生を賭けて、有機栽培に本気で真剣に向き合っている、ということでした。
有機栽培は、植物が持つ力、土壌の力などを利用して地球とともに生きる方法です。そのため、一生懸命育てた作物を、虫や動物が食べたり傷付けたりしないように、日々の見回りがとても重要になります。小さな変化に気が付くことで、大きな問題を回避することができます。変化があれば対策を講じ、効果がなければもう一度試してみる、このようなトライアンドエラーを繰り返し、毎日圃場に足を運びます。まさに、雨の日も風の日も、です。
一生懸命、真面目に取り組む彼らの姿を見て、話を聞いて、木からもいでくれたフルーツを食べさせてもらい、彼らの情熱と精魂が込められた味わいを感じると、日本の選別基準に合わないだけで商品にできないとはとても悲しく、もったいないことであると、心から思うのです。
こうした想いがあって、そのときは商品にできないと判断されてしまったドライフルーツたちが、胸を張って陽の目を浴びることができる方法を考え続けました。
そうして考え続けた結果―…、
これが、私たちのお酒造りのはじまりでした。